投稿:2018-09-24
| 更新:2020-06-19
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米ぬかともみ殻を使った堆肥・ボカシづくりを紹介します。
堆肥やボカシは、微生物が有機物を分解して植物が吸収できる状態になったものです。
水分、温度、湿度を微生物が活発に活動できる状態に管理して、野菜が喜ぶ堆肥・ボカシを作りましょう。
微生物を自由に操ることができれば、植物栽培は劇的に楽になります。
2018年9月15日 1日目 仕込み
堆肥・ボカシづくりは、日本酒造りに欠かせない職人『杜氏』が米麹をつくるようなイメージで行うと、微生物の理想の水分、温度、湿度を推測しやすいと思います。
《材料》
米ぬか ・・・ 1.2キロ
もみ殻 ・・・ 2キロ
温水 ・・・ 適量
発酵促進剤 ・・・ 少々
※ 大容量ではなく、一般家庭にある物置で作れるような容量です。
※ 米ぬかはスーパーで売ってるぬか漬け用(ぬか100%で1袋500g100円くらい)を、もみ殻はホームセンターの園芸コーナー(1袋1㎏400円くらい)で売ってるものを使用します。
※ 水でも温水でも大丈夫ですが発酵のエンジンがかかりやすいように温水を使います。また、乳酸菌が多く働いてくれる願いを込めて培養液を加えてあります。
🔗乳酸菌で土づくりについてはこちらから
※ 発酵促進剤は、発酵エンジンがかかりやすいように少量混ぜました。冬場はあった方が良いかもしれません。
もみ殻を容器(網目状のカゴ)に入れ水をかけ、浸み込むように数時間置いておきます。

米ぬかに発酵促進剤を少量よく混ぜてから、水を加えていきます(そば打ちのイメージで少量ずつ)。
手で強く握って少し水がにじみ出るか出ないか、くらいの絶妙な水分量にもってくる、ここ大事です。


シートにもみ殻を広げ、米ぬかを加えよく混ぜます。
もみ殻は硬くて分解しにくいため長時間をかけて分解します。当面は微生物の住みかにもなりますから、微生物のエサになる米ぬかをもみ殻にまんべんなくすり付けるように混ぜます。

カゴに入れ、ひと回り大きい発泡スチロールの容器に入れフタをします。
雨風をしのげる物置におきます。
スチロール容器に入れることで、温度と湿度を一定に保つことができます。室になります。
フタには穴を開けてありますので空気が出入りできます。ゴザで室の中の温度湿度調整をします。(冬は毛布や布団をまきます)


温度計をさして観察していきます。
24.5℃からスタートです。

夜 30℃ エンジンかかったかな。

2018年9月16日 2日目
朝 50℃ エンジンかかりました。
湯気が上がって良い香りです。

夜 57℃ 良い調子です。
ここから先は色々な意見、考えがあります。
70〜80℃まで上げて切り返して冷ます、を数回やるとか、焼けボカシになるので60℃辺りをキープさせるとか…
前回は高温になり過ぎ、アンモニア臭がしてカリカリ黒黒のボカシにしてしまったので、完熟というよりは中熟堆肥のような感じに仕上がってくれれば良いと思っています。

2018年9月17日 3日目
朝 55℃ 表面に白い粉のようなものが見えます。
菌糸です。 微生物が活発に増殖している証拠です。

夜 48℃ 下がってきました。
水分が無くなったのか、米ぬか有機物を分解し終えたのか。

2018年9月18日 4日目
朝 35℃
水分を加えてよく混ぜます。
分解する米ぬか有機物がまだあれば再び温度が上がるはずですが。
※ちなみに、もみ殻は炭素主体なので温度が上がるほどの分解スピードはなく、ゆっくり分解されていき、腐植になっていきます。
🔗堆肥の発酵メカニズムについてはこちらから

28℃からリスタート

夜 66℃
再び温度上昇です。すごい!

2018年9月19日 5日目
朝 59℃

夜 53℃
米ぬかのにおいが消え、発酵独特の臭いになってきました。アンモニア臭とは違います。
水分もなくなってきていますので明朝は下がるかも。

2018年9月20日 6日目
朝 31.5℃
下がりました。乳酸菌培養液入りの水を加えてよく混ぜます。
分解する米ぬか有機物がまだあれば再び温度が上がるはずです。

24℃からリスタートです。

夜 47℃
再び上昇しました。が、前回より上がり幅が少ないようです。
いよいよ終盤か。

2018年9月21日 7日目
朝 50℃

夜 36℃
下がりました。水分はまだ少し残っているのに下がりましたので、米ぬか有機物が分解し終えたと認識することにします。
1.2キロの米ぬかを7日かけて分解したということになります。
2.3日寝かせて完成とします。

2018年9月24日 10日目
シートに広げて乾燥させます。
嫌な臭いもせず、良い感じに仕上がったと思います。

もみ殻にビッシリと米ぬか発酵物が付着しているのが見えると思います。
ここに栄養と有用微生物が何百億と住みついていて、野菜を元気に美味しくしてくれるかと思うとワクワクします。
そして、もみ殻は土をフカフカにしてくれるのです。

まとめ
微生物が活発に動くには30℃くらいの庫内の温度が必要だと思います。室内や庫内が30℃以上であれば発酵のエンジンはかかりやすく、水分が蒸発し温度が下がってリスタートする時も簡単にいくんだと思います。
要するに初夏から晩秋くらいまでは、ボカシ・堆肥は作りやすく、寒い冬は作りにくいといえそうです。
冬場は庫内温度をいかにして30℃で保てるかがカギとなってくると思います。
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参考文献
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コラム 有機質肥料・完熟堆肥・ボカシ肥料のこと
野菜作りが一作終わると、土壌中の養分は消費されてしまっています。次期作のために失われた栄養分を補給しなければなりません。
足りなくなった分、または次期作の野菜に必要な栄養分を補うために有機物を投入します。
注意しなければならないことは、生育途中に足らなくなった場合は追肥すればよいですが、過剰な場合は残った肥料成分が腐り、病害虫などの害がでてきますから、多過ぎないように気を付けなければなりません。
有機物が投入されると活発になる微生物
微生物にとって有機物(油かす・骨粉・魚かす・牛ふん・豚ふん・鶏ふん・生ごみ・緑肥など)はエサです。エサのない状態ではひっそりとしている微生物ですが、有機物が土に投入されると一気に活発にエサを食べ、増殖と死滅を繰り返します。
このエサを分解してできた物質を、根は栄養分として吸収することになります。
死滅した微生物もまた他の微生物に分解され栄養分になります。
化学肥料は、微生物のエサにはなりません。したがって、化学肥料だけの施肥は、エサがないのでやがて微生物ゼロの土を作ります。
分解しやすい物質と分解しにくい物質
有機物には様々な物質が含まれています。
微生物は食べ易い物質(糖、デンプン、たんぱく質など)から先に分解していきます。
食べ易いので一気に分解し増殖するので熱が出ます。
有機物の投入を種まき・定植の数カ月前に行う理由の一つは、この熱で根が傷つくのを避けるためです。
さて、残った食べにくい物質はどうなるかというと、ゆっくりと時間をかけて微生物によって分解されていきます。堆肥となりやがて腐植となります。この時熱は出ません。
分解し易い物質を分解し、且つ発酵熱によって雑草のタネや病害虫の元を減らす工程を、堆肥作成においては一次発酵といい、一次発酵が終えた有機物は完熟堆肥とうたっても良いことになります。
この後、分解しにくい物質をゆっくり分解していきますが、時間が経てばたつほど腐植と微生物が増え、良質な完熟堆肥となっていきます。
どの微生物が動くかはわからない(水たまりでは腐る)
有機物が投入されると、エサを食べ微生物が活発になるといいましたが、有用菌である『乳酸菌』や『酵母菌』などが多く活発に動いてくれれば理想的な発酵になるのですが、そうでない場合があります。
水はけが悪かったり、大雨で水たまりになってしまうような畑で、土に酸素が含まれていない土壌では、同じ分解でも発酵ではなく腐敗となる微生物が動きます。
腐敗の場合は、植物の生育を悪くする物質が出来たり、有毒なガスが発生したりします。何より腐敗臭に誘われてハエやセンチュウなど害虫が寄ってきて悪の温床となります。
有機物さえ投入しておけば大丈夫、美味しい野菜ができる!と安心するのは間違いです。
腐敗の条件は、水、酸欠、温度です。せっかくの有機質肥料ですから腐らせないようにしたいものです。
ボカシのすすめ
発酵か腐敗か…土の中でどっちに転ぶか分からないようなことを避けるため、あらかじめ有用菌で有機物を上手に発酵させたものがボカシ肥料です。
これなら一次発酵済みなので温度が上がることもないですし、有用菌によって分解され、根が吸収できる栄養分になっていますから安心して施肥することができます。
ベテラン菜園家ともなれば、自分の手に入れやすい有機物などを利用してオリジナルの『ボカシ』を作り菜園に投入しています。
数種類の有機質肥料を発酵させた即効性の肥料をボカシ肥料といい、落ち葉やバークなどを入れ、分解がゆっくりで土壌を改良するような働きを持つもので一次発酵が済んでいるものを完熟堆肥といいます。
ここをしっかり押さえ、理解しておくことが大切です。
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Last Modified : 2020-06-19