投稿:2018-12-29
| 更新:2020-05-10
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古くから園芸家には馴染みのあるメネデール。現在でも植物活力剤として不動の地位を誇っていますが、そもそも活力剤って何なのでしょう?肥料とは違うってどういうことなのでしょうか?
そんなメネデールとはいったい何なのか、どういう時に使用するのが効果的なのか調べてみました。
肥料と活力剤の違い
肥料も活力剤も『植物が元気で丈夫に育つために人が植物に対して施すもの』という点では同じです。
現在、植物の成長に必要な元素(必須元素)は17種類あるといわれています。
そのうちの9種類が多量元素、8種類が微量元素と呼ばれ、文字通り多量元素は、植物が多く必要とするもの、微量元素はごくわずか必要とするものです。
しかし多かれ少なかれ、植物は17種類の元素が全てなければ元気に育つことができないのです。
さて、この元素のうち植物が多く消費する窒素、リン酸、カリウムを三大栄養素といい、日本の法律では「窒素、リン酸、カリウムがそれぞれ01%以上、あるいは、2成分以上の合計量が0.2%以上含まれているものを『肥料』という名をつけて売ることができる」という約束になっています。
要するに、この条件を満たす『作物を元気にする物体』を『肥料』と呼び、この条件を満たさない『作物を元気にする物体』を『活力剤』と呼ぶことになります。
現在、植物が元気に成長するためには窒素、リン酸、カリウムだけでなく、他の元素やビタミン、ミネラルなどいろんな要素が必要であることが分かっています。
だから三要素だけを与えていれば良いわけではなく、植物がその時足りていない、欲している栄養素を肥料、活力剤の区別なく見極めて施してあげることが作物管理として大切です。
メネデールの栄養素は鉄(Fe)
植物の生育に必要な元素17種類の中の微量元素8種類の1つ鉄(Fe)がメネデールの主成分です。
この栄養素、鉄(Fe)は植物が光合成をする時の材料である葉緑素を作る時に必要な栄養素で、欠乏すると葉緑素が作れなくなり、葉が黄化してきます。無くてはならない栄養素です。
本来なら土中に含まれている鉄ですが、乾燥や土壌酸度などの土壌環境によって根がうまく吸収できない場合が出てきます。
このような時にメネデールの希釈液を施すことによって根から鉄が素早く吸収され、作物は元気を取り戻します。
しかも、メネデールのすごいところは、根が吸収しやすいイオン(ニ価鉄イオン)の状態で安定しているということです。
化学の話になってわかりにくくなるので、単純に「根が吸収しやすい鉄成分の状態でボトルに入っている」と理解しましょう。
メネデールの効果的な使い方
メネデールの主成分の鉄(ニ価鉄イオン)は必須元素の一つで、作物を元気にする栄養素であり、根が吸収しやすい状態になっていることがわかりました。
メネデールを植物に与えることによって、光合成が活発に行われるようになったり、根からの水分や養分の吸収が強まったり、いろいろな効果が出てきます。
次に、植物栽培においてどんな時にメネデールを使用すると効果的なのかを紹介します。
《種まき、球根の植え付け》
まき床にメネデール100倍液をまき、あらかじめ湿らせておきます。
その後種まきをし、種まき後にも100倍液で水やりしておきます。
その後、週に一度のペースで3~4回与えます。
種まき前に水に浸す場合は100倍液に浸してから種まきします。
浸み込んだメネデール液でタネが活性化し、発根や発芽を促進してくれます。

《野菜苗や花苗の植え付け》
野菜や花の苗を植え付けた後、メネデール100倍液で水やりします。
その後、週に一度のペースで3~4回与えます。
根や葉から吸収されたメネデール液が植え付けのストレスで一時的に弱った苗を活性化させ根の活着を促進します。
《株分け、植え替え》
植え付け前にメネデール100倍液に浸すか、植え付け直後にメネデール100倍液で水やりします。
その後、週に一度のペースで3~4回与えます。
根から吸収されたメネデール液が、植え替えで弱った株を活性化させ、根の活着を促進します。
《果樹、花木などの苗木の植え付け》
小さな苗木の場合は、メネデール100倍液に2〜3時間浸してから植え付けます。
大きな苗木の場合は植え付け後にメネデール100倍液で水やりします。その後、週に一度のペースで3〜4回与えます。
根から吸収されたメネデール液が、植え付けで弱った株を活性化させ、根の活着を促進します。
《さし木、さし芽》
さし穂をメネデール100倍液に浸してからさし床にさします。
草本姓30分以上、木本性は2〜3時間浸します。
その後、根付くまで2〜3日ごとにメネデール100倍液を与えます。
メネデールには植物の切り口や、傷ついた部分からにじみ出る物質と結合して膜のようなものを作る働きがあります。切り口を保護すると同時に新しい根の発生を促進します。

《切り花》
花瓶の水にメネデールを適度(100倍液が目安)に加えます。
メネデールには植物の切り口や、傷ついた部分からにじみ出る物質と結合して膜のようなものを作る働きがあります。
また、切り口などから吸収されたメネデール液が弱った花を活性化させ、切り花を元気に長持ちさせます。
《室内の観葉植物》
植え付け後メネデール100倍液で水やりします。
その後、週に一度のペースで3〜4回与えます。日常管理では葉面散布も効果的です。
根や葉から吸収されたメネデール液が株を活性化させ光合成が活発に行われて鮮やかな緑の葉色になります。
《庭木などが弱ってきた時》
根周りを軽く掘り、メネデール100倍液をかん注します。
週に一度程度、約1ヶ月続けると良いです。
根から吸収されたメネデール液が株を活性化させ元気が戻ってきます。
《草花などが弱ってきた時》
週に一度程度メネデール100倍液で水やりをするか、霧吹きなどで葉面散布します。
鉢植えで弱りが激しい時は、鉢のまま数時間メネデール100倍液に浸しておくと効果的です。
根から吸収されたメネデール液が株を活性化させ、弱った草花を元気に回復させます。
まとめ
メネデールの性質と効果的な使い方についてみてきました。
肥料や活力剤は多く施せば良いというものではありません。植物が吸収する量は決まっていますから余りは土中に残り、やがて腐って病害虫の温床となっていきますから注意が必要です。
また、栄養素の過剰な吸収は軟弱な植物を育てることになり、病害虫に勝てない植物となります。チッソ過多の植物はアブラムシの大好物です。
毎日でも水や肥料をあげたくなるのが人情ですが、あえて我慢して少なめ少なめに与えることが、植物を強く育てることに繋がっていきます。
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コラム 有機質肥料・完熟堆肥・ボカシ肥料のこと
野菜作りが一作終わると、土壌中の養分は消費されてしまっています。次期作のために失われた栄養分を補給しなければなりません。
足りなくなった分、または次期作の野菜に必要な栄養分を補うために有機物を投入します。
注意しなければならないことは、生育途中に足らなくなった場合は追肥すればよいですが、過剰な場合は残った肥料成分が腐り、病害虫などの害がでてきますから、多過ぎないように気を付けなければなりません。
有機物が投入されると活発になる微生物
微生物にとって有機物(油かす・骨粉・魚かす・牛ふん・豚ふん・鶏ふん・生ごみ・緑肥など)はエサです。エサのない状態ではひっそりとしている微生物ですが、有機物が土に投入されると一気に活発にエサを食べ、増殖と死滅を繰り返します。
このエサを分解してできた物質を、根は栄養分として吸収することになります。
死滅した微生物もまた他の微生物に分解され栄養分になります。
化学肥料は、微生物のエサにはなりません。したがって、化学肥料だけの施肥は、エサがないのでやがて微生物ゼロの土を作ります。
分解しやすい物質と分解しにくい物質
有機物には様々な物質が含まれています。
微生物は食べ易い物質(糖、デンプン、たんぱく質など)から先に分解していきます。
食べ易いので一気に分解し増殖するので熱が出ます。
有機物の投入を種まき・定植の数カ月前に行う理由の一つは、この熱で根が傷つくのを避けるためです。
さて、残った食べにくい物質はどうなるかというと、ゆっくりと時間をかけて微生物によって分解されていきます。堆肥となりやがて腐植となります。この時熱は出ません。
分解し易い物質を分解し、且つ発酵熱によって雑草のタネや病害虫の元を減らす工程を、堆肥作成においては一次発酵といい、一次発酵が終えた有機物は完熟堆肥とうたっても良いことになります。
この後、分解しにくい物質をゆっくり分解していきますが、時間が経てばたつほど腐植と微生物が増え、良質な完熟堆肥となっていきます。
どの微生物が動くかはわからない(水たまりでは腐る)
有機物が投入されると、エサを食べ微生物が活発になるといいましたが、有用菌である『乳酸菌』や『酵母菌』などが多く活発に動いてくれれば理想的な発酵になるのですが、そうでない場合があります。
水はけが悪かったり、大雨で水たまりになってしまうような畑で、土に酸素が含まれていない土壌では、同じ分解でも発酵ではなく腐敗となる微生物が動きます。
腐敗の場合は、植物の生育を悪くする物質が出来たり、有毒なガスが発生したりします。何より腐敗臭に誘われてハエやセンチュウなど害虫が寄ってきて悪の温床となります。
有機物さえ投入しておけば大丈夫、美味しい野菜ができる!と安心するのは間違いです。
腐敗の条件は、水、酸欠、温度です。せっかくの有機質肥料ですから腐らせないようにしたいものです。
ボカシのすすめ
発酵か腐敗か…土の中でどっちに転ぶか分からないようなことを避けるため、あらかじめ有用菌で有機物を上手に発酵させたものがボカシ肥料です。
これなら一次発酵済みなので温度が上がることもないですし、有用菌によって分解され、根が吸収できる栄養分になっていますから安心して施肥することができます。
ベテラン菜園家ともなれば、自分の手に入れやすい有機物などを利用してオリジナルの『ボカシ』を作り菜園に投入しています。
🔗7日で完成 米ぬか・もみ殻 ボカシ・堆肥づくり/好気性発酵 はこちらから
数種類の有機質肥料を発酵させた即効性の肥料をボカシ肥料といい、落ち葉やバークなどを入れ、分解がゆっくりで土壌を改良するような働きを持つもので一次発酵が済んでいるものを完熟堆肥といいます。
ここをしっかり押さえ、理解しておくことが大切です。
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Last Modified : 2020-05-10