投稿:2019-03-21
| 更新:2019-11-26
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野菜の栽培にはつきものの病害虫。栽培環境や土の状態が良い中で元気に育つ野菜であれば、植物がもともと持っている免疫力で病害虫を寄せつけませんし、大きな被害に合うことはありません。
ですから、薬剤に頼る前にまずは元気な植物を育てることが最も大切です。
しかし、気候変化や周囲の環境変化など、ちょっとしたことで栽培環境が変わり、病害虫の大発生に見舞われてしまうことがあります。
特に昨今の異常気象は、あっという間に栽培環境を大きく変えてしまうことで、植物に大きなストレスを与え、植物を弱らせ、病害虫被害が多発してしまう傾向にあります。
今回は、元気だったキュウリが1株だけ突然萎れる!『ツル割れ病』について調べてみました。
植物と微生物の関係
いったん植物が土中に根を伸ばし、地表に茎葉を出し始めると、微生物はその周りに集まってきて植物の成長を助けたり、病害虫から植物を守ってくれます。
反対に、植物は微生物の成長に必要な養分を提供し共存関係が成立しています。
また、土中の有機物は微生物によって分解されてはじめて養分として植物が吸収できます。
微生物の死骸も分解されて、養分として植物に吸収されています。
このように微生物は、植物が生きるために大きな役割をはたしているのですが、さまざまな病気もまた微生物が引き起こすものです。
農薬は、病原菌だけを殺すことができれば万能薬ですが、植物に有用な微生物までも殺してしまう恐れが大きく、また、土中の微生物バランスを崩す可能性があるため、残留農薬の問題、環境への問題も含め、なるべくなら化学農薬の使用は避けたいところです。
病原菌の種類と発生場所
植物の病気の原因となる微生物は糸状菌(カビ)によるものがほとんどです。
その他、細菌(バクテリア)によるもの、ウイルスが原因の病気があります。
また発生場所として、茎葉花など地上部の植物体の表面で菌が繁殖して生育を悪くするもの、植物体内で繁殖して病斑が現れるものがあります。
その他、土壌中で繁殖して根に被害を与える病気などがあります。
ツル割れ病について
↓病害虫を判別するにはこちらが参考になります
🔗昆虫エクスプローラ
🔗病害虫・雑草の情報基地
《被害症状》
・ツルがところどころで日中に萎れるようになりますが、曇雨天時には回復します。これを繰り返します。
・やがて株全体が生気を失い、病気が進行すると茎の地際部分から黄褐色に変色し、ヤニが出て萎れます。

・病斑部には白色~淡紅色のカビを生じ、ツル割れ病と分かります。
・主にキュウリ、スイカ、マクワウリ、メロンなどのウリ科植物が被害にあいます。
《生態》
・発生時期は5月~9月頃。地温が20℃以上になると発病し始めます。
・露地栽培、施設栽培で発生します。
・ウリ科植物を連作した場合、発生しやすくなります。
・酸性土壌、チッソ肥料過多、などは発病を助長します。
・病原菌は土壌中で数年間生き残ることができ、根から感染します。
・梅雨期に雨が多く、その後晴天が続くような時に発病が目立ちます。
《防除方法》
・一度発病すると土壌に病原菌が残るので連作をやめます。
・種子伝染するので種子消毒してからまきます。
・カボチャなどの接ぎ木苗で栽培します。
・健康な苗を適期に定植して元気に育てるようにします。
・チッソ過多にならないように施肥に注意します。
・石灰や完熟堆肥の施用も発病を抑えるのに効果があります。
ツル割れ病に効果のある薬剤
ツル割れ病に効果のある薬剤を紹介します。
薬害の恐れがありますから、それぞれの作物に適応している薬剤を選ぶことが大切です。
自分の栽培している作物に多く適応している薬剤を選ぶのがコツです。
① GFベンレート水和剤
・ばらの黒星病、うどんこ病に優れた効果があります。
・浸透移行作用により病原菌の侵入を防ぐ予防効果と、侵入した病原菌を退治する治療効果を兼ね備え、病原菌の細胞分裂を阻害して防除します。
・特に黒星病には早春の萌芽前から散布することで防除効果が高まります
・水で薄めて散布します。
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まとめ
植物は一度根を生やしてしまったら、そこから移動することはできません。
その場の環境に合わせて生きていかなければならないのです。
ですから、いろんな外的攻撃に打ち勝つ免疫力を長い進化の中で確立してきました。
要するに、植物はもともと持っている免疫力で病害虫に負けないようになっています。
昨今の異常気象による病虫害や生理障害は自然現象なので、なかなか避けにくいことですが、肥料のやりすぎによる軟弱栽培が原因の病虫害や、風通しの良い栽培環境づくりなどは、自らの栽培技術向上で克服することができます。
毎日作物をよく観察し適切な栽培をして、病害虫に負けない元気で美味しい野菜づくりに努めましょう。
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参考文献
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Last Modified : 2019-11-26