投稿:2020-06-28
| 更新:2020-07-27
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米ぬかともみがらを使って『ボカシ肥料』を作ります。
農場で作るような大容量ではなく、一般家庭で作れるような少量をホームセンターなどで手に入れることができる材料で作っていきます。自分で手作りした肥料でおいしい作物ができる喜びを是非体験してください。

有機栽培がもてはやされています。米ぬかやもみ殻、油かす、骨粉、魚かすなどは有機物です。単にこれらの有機物を土に入れれば有機栽培になると思っていませんか?半分合っていますが、半分間違いです。
植物は有機物を直接栄養分として吸収することはできません。微生物が有機物を分解して植物の根が吸収できる成分になって初めて栄養分として吸収できます。
いったん土の中に有機物を投入したら上手に分解されているのか確認するることは困難です。水分条件などが悪くて作物の成長に悪影響を及ぼすこともあります。土を掘り返したらウジ虫がわいていたり、ドロドロヘドロのようになっていたりした経験はありませんか?ウジ虫、ヘドロの土でできた野菜はなんとなく嫌ですね。要するに、良い有機肥料になるかもしれませんが、ならない場合もあるのです。不確かなのです。ここを必ず理解してください。
『ボカシ』とは、この不確かな微生物の分解を自分の目で確認しながら作成してできた有機肥料なのです。だから安心して作物に施すことができます。
微生物は小さくて直接目で見ることはできません。が、湯気が出て温度が60℃になったり、菌糸が現れたり、においが代わったりして間接的にそこで微生物が活動していることを認識することができます。とても興味深い作業です。
野菜栽培は土づくり。良い土は微生物が多く住む土。微生物を自由に操ることができれば野菜栽培がもっともっと楽しくなります。

スーパーやホームセンターで手に入るものを使います。スペースもとりません、が発酵が進むと匂いが出るのでそこだけ注意が必要です。
《材料》
米ぬか ・・・ 1袋(約500g)
もみ殻 ・・・ 適量
水 ・・・ 適量
発酵促進剤 ・・・ 少々(加えるとエンジンがかかりやすい)



《容器》
角ざる(39×29.5×13)
スチロール容器(角ざるより一回り大きいサイズ)
ざるの土台となるような木の板など(ざるの下に空間を設ける)
温度計


角ざるの半分くらいまで『もみ殻』を入れます。

水をまいてもみ殻全体に浸み込ませておきます。

米ぬかを一袋バケツに入れます。発酵促進剤も一握りほど加えます。そば作りのように少しずつ水を加えます。手で握って少し水分がにじみ出るか出ないか程度にします。首尾よく発酵するか否かはこの水分量にかかっているので集中してください。


ざるに米ぬかを入れもみ殻と混ぜ合わせます。もみ殻のすき間に米ぬかが入るように丁寧にすり込んでください。

スチロール容器の中に入れます。まず木の土台を置いて空気の通り道を作っておきます。
発酵は温度、湿度、水分の条件がそろうとスイッチが入ります。また、好気性発酵はこれに加えて酸素が必要になります。お酒の麹づくりに似ています。
ざるとスチロールを使ってこの条件を整えます。


プレハブの倉庫に置きます。フタはキッチリ閉めずにずらして空気が入るようにしておきます。気温が低い場合は使わない布団などを巻いて保温します。また容器の中にお湯を入れたペットボトルを置いておくのもエンジンがかかりやすくなります。要するに容器の中を30℃以上にキープし続けることがエンジンがかかるコツです。


温度計を中心に差し込んで管理していきます。
さて25℃からスタートです。がんばれ微生物くん!


朝35℃に上昇しています。倉庫内の室温は30℃ないですから、明らかに何者かが温度を上げています。
自然界には多くの微生物が存在します。そして活発に動ける温度帯もそれぞれあります。微生物がエサである米ぬかを食べ分解する時に熱が出るのですが、温度が上昇していくとその温度帯で活躍する微生物がそれぞれ変わっていきます。そして最終的に米ぬかを分解しつくすと活性がなくなり温度が下がっていきます。このようなサイクルで米ぬかを分解し植物が吸収できる成分に変えていくのです。
一方、もみ殻は繊維質なのでゆっくりと分解されます。温度が下がっていく過程で多くの微生物がもみ殻を住みかにしていきます。
米ぬかは即効性肥料、もみ殻は土壌改良剤の役割になります。
こちらがわかりやすく説明してくれています。参考にしてください↓
🔗糸状菌と放線菌

夕方43℃に達しました。完全にエンジンがかかりました。湯気が出て米ぬかの良い香りが漂います。この良い香りが発行が進むにつれてあまり好ましくない(個人差あり)香りに移り変わっていくのもチェックしていきます。


朝53℃に達しました。ここまで温度が上昇すると自然界に感動を覚えますね。気温が低いので昨晩から布団をかぶせて保温するようにしています。

夕方、室温20℃、温度は59℃になりました。エサになる有機物にもよるのでしょうが、米ぬかの場合は60℃辺りがピークになるようです。
水分が蒸発してパラパラになってきました。水分が足りなくなると発酵も止まりますから温度が下がります。エサが残っていれば水分を加えることによってふたたび温度上昇します。最終的にエサがなくなれば温度が下がり発酵(分解)は終わりになります。
徐々に米ぬかの香りから発酵特有の香りに変化しています。



朝51℃。少し下がりました。今日は気温が上がる予報なので室温が上がっても温度が下がるようなら水分を加えます。

夕方、室温30℃で45℃にまで下がりました。手で触ってみるとパラパラと水気がないので水分を加えることとします。



水道水を加えればよいのですが、今回はオプションでヨーグルト水溶液を加えてみます。乳酸菌が活躍してくれないかなあ…という願いを込めて。
霧吹きなどを使いながら、まんべんなく水分を加えて混ぜていきます。50mlのペットボトル半分くらいの水分を加えました。


仕込みの時のように握って水が染み出るか出ないか程度まで水分が加わりました。
温度計を差し込み、28℃から再スタートです。エサの米ぬかがまだ残っていれば再び上昇するはずです。


数時間後、室温25℃、温度52℃と再上昇しました。このような温度が下がったら加水、をもう1~2回すると米ぬかの分解が終わり、加水しても温度上昇はしなくなり発酵完了となります。



室温22℃ 温度56℃です。再びMaxに近い温度となりました。香りも発酵独特の香りです。特に鼻をふさぐようなニオイではないです。
少しずつ色に変化が見られます。少し茶が濃くなってきたかな。


午後52℃。少し温度が下がりました。そろそろ残りの米ぬかも少なくなってきたかな?なんとなく米ぬか感がなくなってパラパラしてきました。あいかわらず香りは発酵の香りです。アンモニア臭はしません。


室温20℃ 27℃で常温になりました。米ぬかが全部分解されて微生物の活性がなくなったのか、それとも水分が足りないのか。
もう一度水分を加えます。
水分を加えるとまだべたべた感がありますのでもう少し米ぬかが残っているような気がしますが…
外気温が20℃と低いので何とも判断が難しいところです。



午後31℃ お湯を入れたペットボトルを入れ容器内温度をあげますが、思うように上がりません。
明日の午前に常温に戻っていれば、米ぬかの分解が終了したものとします。


午前、室温23℃ 44℃ 上がりました。まだエサとしての米ぬかがあるのでしょう。3回目の温度上昇にしてはまずまずの温度だと思います。
また、外気温の影響もあると思います。人間が肌寒いと感じる温度では微生物も活発に運動できないのでしょう。


午後、室温29℃ 47℃ いよいよ残りわずかか。米ぬかのツブツブ感がなくなって、もみ殻だけになってるような画像に変化していますがわかりますか。



室温22℃ 44℃ 今日は下がると思っていましたが下がりません。天気予報は晴れ、気温も上がりそうです。香りはいよいよ発酵独特の香りになってきました。慣れれば何ともないのですが、家族に言わせれば独特の匂いだということです。
8割がた分解は終わっているでしょうから、この辺で乾燥に入って中熟発酵肥料として使うのも良いと思います。


室温32℃ 56℃ 気温につられて温度上昇したのでしょうか、活性が高いです。水分も大分飛んでいるので明日は温度が下がるかもです。下がらなかったら…明日考えます。


午前 室温22℃ 33℃ 水分がなくなり温度が下がりました。色も香りも十分ボカシですが。



午後 再び水分を加えます。米ぬかが残っていれば温度上昇すると思います。温度が上がらなければ発酵終了と認識し乾燥作業に入ります。
26℃からリスタートします。



午前 室温24℃ 52℃ またまた上昇しました。予想外です。恐るべし微生物です。


午後 室温27℃ 37℃ 下がり始めました。室温は高めですし、水分もまだあるのに下がり始めたので米ぬかのエサが無くなったと判断できます。
このまま温度上昇しなければ乾燥作業に移ります。



午前 室温27℃ 28℃ ほぼ常温に下がりました。手で触ってみましたが水分はまだあります。ゆえにエサとなる米ぬかが全て分解されて微生物の活性が下がったと判断できます。



乾燥させて保存します。ビニールシートに薄く広げて天日干しします。不思議なことにアリやハエが寄ってきません。これが有機物が分解された証拠といえると思います。
もみ殻の中に分解された米ぬかがビッシリです。白く見えるのは菌糸の後ではないかと思います。
水分が抜けたら、粗熱をとり、箱や袋に入れて完成です。



・『米ぬかもみ殻』の他にも別の有機物を加えて同じようにボカシを作ることができます。骨粉、魚粉そしてコーヒーの出がらしを少量ずつ加えて醗酵させてみました。
・『米ぬかもみ殻』だけの時と比べて最終段階の匂いがきついです。若干のアンモニア臭がしました。それでも乾燥させることによって鼻を近づけなければ気にならない程の香りになります。おそらく動物系の有機物はきつい匂いになるのではないかと想像します。
・いろんな有機物を加えてオリジナルぼかしを作ってみましょう。


今回の『米ぬかもみ殻ボカシ』づくりは10日を用しました。温度変化のグラフを載せましたが温度上昇が4回あり、理想的な温度変化となりました。外気温が低いとなかなか容器内の温度も上がらずに微生物の活性は上がりません。初夏~初秋が簡単にボカシづくりができるのではないでしょうか。
有機物は他にもいろいろあります。米ぬかもみ殻にオプションで油かすや骨粉などを加えればオリジナルのボカシが作れると思います。是非チャレンジしてください。ただ米ぬかもみ殻はきつい匂いを出しませんが、有機物によってはきつい匂いが発生してしまうかもしれません。植物性有機物より動物性有機物の方がにおいがきつくなるかもしれません。
もみ殻は分解された米ぬかと微生物の住みかになります。これを土に施すと、水分に栄養素が溶けだし多くの微生物の力を借りて根から吸収されていきます。自分の手で作り上げた栄養と微生物が野菜を元気で美味しくしてくれます。
ボカシは少量でも作れます。スーパーやホームセンターで買ってきたもので作れます。化成肥料では微生物は増えてくれません。是非オリジナルのボカシを作って安全な有機栽培をしましょう。

おすすめのアイテムを紹介します。
私は天気の良い早朝に葉面散布して光合成を促進させています。
実も葉もひと回り大きくなるような気がしています。是非お試しください。
ボカシづくりもこちらで学びました!
🔗玄米アミノ酸酵素液について


野菜は、日光が大好きです。特に夏野菜は日光と温度を要求しますが、昨今の猛暑、酷暑の中では気温の上がり過ぎにより、元気がなくなり成長が弱まったり、病害虫が多発したりします。日光は好きでも異常な暑さは好きではないようです。
地球温暖化が原因とされるこの暑さですが、下記写真資料にある通り1960年代から暑さが顕著になりはじめています。植物の進化はもっともっと長いスパンですから、温暖化のスピードに植物の進化が追い付いていないというのが現状のようです。
将来、人間にとっても植物にとっても過ごしやすい夏に戻ってくれるのが一番良いのですけど、どうなることやら。現状ではこの暑さにも負けない品種の改良を待つしかないのでしょう。
日本の夏は徐々に暑く、長くなっている (東洋経済ONLINEより)


これであなたも菜園家‼
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Last Modified : 2020-07-27