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土壌改良に役立つ放線菌



11・23・表紙



土の中には1グラムあたり30億個の微生物がいます。
いったん植物が土中に根を伸ばし、地表に茎葉を出し始めると、微生物は根や茎葉の周りにに集まってきて、植物の成長を助けたり、病害虫から植物を守ってくれます。
反対に、植物は微生物の成長に必要な養分を提供し、持ちつ持たれつの関係が成立しています。

これらの植物にとって有用な微生物がそれぞれどんな働きをしているのか見ていきます。




放線菌とは



病原菌を破壊して病気の少ない畑にします。

真正細菌(バクテリア)の一種で、菌糸を放射状に伸ばすことからこの名前がつきました。
代表的な種類は『ストレプトマイセス』で、伝染病の特効薬として知られる抗生物質の『ストレプトマイシン』が発見されたことで有名です。


放線菌のはたらき



堆肥中に多く含まれ、有機物を分解するのが得意です。

害虫の固い外壁であるキチン質を分解する酵素キチナーゼを作り、フザリウムやリゾクトニヤなどの糸状菌のキチン質でできた細胞膜を破壊して死滅させます

センチュウ対策にも酵素キチナーゼが有効です。

フザリウムは、ナスの半身萎ちょう病、トマトの萎ちょう病など、リゾクトニアは、ナス科、ウリ科、アブラナ科、ネギ類の立ち枯れ病などの病原菌で、放線菌はこれらの病気対策に効果があります。


放線菌の増やし方



土づくりの時に、米ぬかといっしょに放線菌の餌となるカニ殻や廃菌床を畑にすき込む。

放線菌で白い粉をふいたボカシ肥を元肥や追肥で畑に施します。

カニ殻肥料を1㎡あたり200~400gすきこみます。同時に米ぬかを施しておきます。

細胞膜がキチン質でできた糸状菌を減らした結果、細胞膜がセルロースでできた糸状菌が増えて疫病が発生する可能性があるので注意が必要です。


カニ殻液でうどん粉病を退治



キチン質を餌として分解する微生物には放線菌や枯草菌(納豆菌)などがあります。
カニ殻やエビ殻を酢につけておくとキチン質が溶け出すので、それを薄めて葉の表裏にスプレーします。
枯草菌は葉面でも増殖できますので、スプレーされたキチン質を餌にして増殖し、灰色カビ病やうどん粉病などの病原菌(細胞膜がキチン質の糸状菌)を減らすことができます。

作り方



食べた残りのカニ殻やエビ殻を細かく砕いて容器に入れ、酢に溶かします。徐々に泡立ちはじめ、約1週間で完成します。
使うときは200倍に薄めて使います。

詳しくはやさい畑 2017年 02月号 で紹介しています。


まとめ



放線菌は堆肥作りにおいては、発酵温度50〜60℃になると、糸状菌(カビ)に代わって活躍し始め、固いキチン質を分解します。体から抗生物質を出して特定の菌の異常増殖を抑えてくれます。

山の堆積した落ち葉の裏側に見つけることができます。これを採取して堆肥づくりの発酵スターターに利用することもできます。



放線菌を増やして土壌改良を促進させます
⇒放線菌を使った土壌改良剤を見てみる


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コラム 有機質肥料・完熟堆肥・ボカシ肥料のこと



野菜作りが一作終わると、土壌中の養分は消費されてしまっています。次期作のために失われた栄養分を補給しなければなりません。
足りなくなった分、または次期作の野菜に必要な栄養分を補うために有機物を投入します。

注意しなければならないことは、生育途中に足らなくなった場合は追肥すればよいですが、過剰な場合は残った肥料成分が腐り、病害虫などの害がでてきますから、多過ぎないように気を付けなければなりません。



有機物が投入されると活発になる微生物

微生物にとって有機物(油かす・骨粉・魚かす・牛ふん・豚ふん・鶏ふん・生ごみ・緑肥など)はエサです。エサのない状態ではひっそりとしている微生物ですが、有機物が土に投入されると一気に活発にエサを食べ、増殖と死滅を繰り返します

このエサを分解してできた物質を、根は栄養分として吸収することになります。
死滅した微生物もまた他の微生物に分解され栄養分になります。

化学肥料は、微生物のエサにはなりません。したがって、化学肥料だけの施肥は、エサがないのでやがて微生物ゼロの土を作ります。



分解しやすい物質と分解しにくい物質

有機物には様々な物質が含まれています。
微生物は食べ易い物質(糖、デンプン、たんぱく質など)から先に分解していきます。
食べ易いので一気に分解し増殖するので熱が出ます

有機物の投入を種まき・定植の数カ月前に行う理由の一つは、この熱で根が傷つくのを避けるためです。

さて、残った食べにくい物質はどうなるかというと、ゆっくりと時間をかけて微生物によって分解されていきます。堆肥となりやがて腐植となります。この時熱は出ません。

分解し易い物質を分解し、且つ発酵熱によって雑草のタネや病害虫の元を減らす工程を、堆肥作成においては一次発酵といい、一次発酵が終えた有機物は完熟堆肥とうたっても良いことになります。
この後、分解しにくい物質をゆっくり分解していきますが、時間が経てばたつほど腐植と微生物が増え、良質な完熟堆肥となっていきます。



どの微生物が動くかはわからない(水たまりでは腐る)

有機物が投入されると、エサを食べ微生物が活発になるといいましたが、有用菌である『乳酸菌』や『酵母菌』などが多く活発に動いてくれれば理想的な発酵になるのですが、そうでない場合があります。

水はけが悪かったり、大雨で水たまりになってしまうような畑で、土に酸素が含まれていない土壌では、同じ分解でも発酵ではなく腐敗となる微生物が動きます。

腐敗の場合は、植物の生育を悪くする物質が出来たり、有毒なガスが発生したりします。何より腐敗臭に誘われてハエやセンチュウなど害虫が寄ってきて悪の温床となります。
有機物さえ投入しておけば大丈夫、美味しい野菜ができる!と安心するのは間違いです。

腐敗の条件は、水、酸欠、温度です。せっかくの有機質肥料ですから腐らせないようにしたいものです。



ボカシのすすめ

発酵か腐敗か…土の中でどっちに転ぶか分からないようなことを避けるため、あらかじめ有用菌で有機物を上手に発酵させたものがボカシ肥料です。
これなら一次発酵済みなので温度が上がることもないですし、有用菌によって分解され、根が吸収できる栄養分になっていますから安心して施肥することができます。
ベテラン菜園家ともなれば、自分の手に入れやすい有機物などを利用してオリジナルの『ボカシ』を作り菜園に投入しています。



数種類の有機質肥料を発酵させた即効性の肥料をボカシ肥料といい、落ち葉やバークなどを入れ、分解がゆっくりで土壌を改良するような働きを持つもので一次発酵が済んでいるものを完熟堆肥といいます。

ここをしっかり押さえ、理解しておくことが大切です。



 





 
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Last Modified : 2019-05-19

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