投稿:2017-12-06
| 更新:2018-10-23
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腐敗と発酵
食品が微生物の働きによって次第に味やにおい、外観などが変化していく現象はあるときは腐敗と呼ばれ、あるときは発酵と呼ばれます。
いずれも食品がおかれた環境や食品成分に適した微生物が増殖して食品成分を分解することで生じる現象です。
発酵と呼ばれる微生物の分解
ヨーグルトや酒のように、糖類が微生物に分解されて乳酸やアルコールなどが生成されるような場合、これを発酵と呼びます。
腐敗と呼ばれる微生物の分解
魚や肉でみられるように、タンパク質やアミノ酸などの食品成分が微生物に分解され、硫化水素やアンモニアのような腐敗臭を生成し、最後には食べられなくなってしまう現象を腐敗と呼びます。
腐敗と発酵の矛盾
タンパク質やアミノ酸が分解される場合が腐敗で、糖類が分解される場合が発酵かというと、そうでもなく、米飯や野菜、果実類などでも腐敗はみられます。
また原料が同じでも、蒸した大豆に枯草菌を生やして納豆が作られる場合には発酵とよばれますが、煮豆を放っておいて枯草菌が生え、ネトやアンモニア臭がしたときは腐敗と呼ばれます。
腐敗と発酵の区別の基準は何か?
答えは簡単で、腐敗と発酵の区別は、食品や微生物の種類、生成物の違いによるのではなく、人の価値観に基づいて、微生物作用のうち人間生活に有用な場合を発酵、有害な場合を腐敗と呼んでいます。
納豆が好きな人にとっては、発酵であり、嫌いな人にとっては、ただの腐った臭い豆、ということになります。
これを植物栽培の観点からみてみます。
有機物が土に投入された後、植物にとっての善玉菌によって分解されれば発酵、悪玉菌によって分解されれば腐敗となり、 植物がうまく育たなくなったり、悪臭が漂う土壌になったりしてしまいます。
これは、それぞれの微生物によって活発になる温度、水分、酸素等の条件が異なるためで、特に水分が多い場合(大雨、水の与えすぎ、生ゴミ)は酸欠になり、悪玉菌が有機物を腐敗へ導きます。
腐敗臭が害虫を集めることになります。
せっかく施した有機質が、かえって植物の毒にならないように十分注意しなければなりません。
腐敗と食中毒
腐敗と食中毒も、ともに微生物の作用によるものですが、明らかな違いがあるので確認しておきます。
腐敗は食品に微生物が増殖した結果、食品本来の色や味、香りなどが損なわれ食べられなくなる現象で、一般に腐敗した食品を食べても下痢、嘔吐など特定の症状はありません。
これに対して、食中毒は食品衛生上問題となるサルモネラ菌や黄色ブドウ球菌などの特定病原微生物が食品中で増殖、または毒素を生産し、それを食べた人に腹痛、嘔吐、発熱など、その微生物特有の症状をおこします。
厄介なことに、食中毒は食品外見上の著しい変化を伴わないことが多いので、臭いや見かけで判断することは困難です。
いずれにしろ、どちらも微生物の増殖によるものですから、食品衛生上悪い環境に長く置かないことが大事になります。
まとめ
畑での野菜、土づくりだけでなく、食品や化粧品など、人の生活と微生物のかかわりは、研究が進むにつれ、なお一層深く結びついていることがわかります。
人は自然の中で生きているのですから、やはり自然に逆らってはいけないのですね。
野菜、土づくりは微生物主体で考えるとうまくいくかもしれません。
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参考文献
いつも参考にしている家庭菜園の教科書です。
よかったら読んでみてください。
▷▷やさい畑 2018年 10月号
▷▷野菜だより 2018年 11月号
▷▷現代農業 2018年 11月号
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Last Modified : 2018-10-23